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【ネタバレ】映画『メッセージ』の個人的考察!原作との違いは?

ネタバレ映画メッセージのアイキャッチ画像 映画

私がおすすめするSF映画の『メッセージ』。

原作も好きなのですが、私的には映画の方が好きかもしれません。

数々の賞を受賞するなど、評価の高い作品だと思います。

ただし、難解な映画とも言われますので、鑑賞した方で、もっと詳しく知りたい方向けに、個人的な考察をしてみます。

筆者は、物理学者ではないので、作品の表現から読み取れる範囲での解説です。

ネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意くださいね!

もっとこの映画の魅力が伝わりますように。

「メッセージ」のあらすじ

ある日突然、巨大飛行体が地球に。

その目的は不明―

未知なる飛行体が突如出現、彼らは人類に何を伝えようとしているのか?

出典:映画『メッセージ』本予告編

映画「メッセージ」の作品情報

タイトル情報

タイトル:「メッセージ」
原題:Arrival
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
音楽:ヨハン・ヨハンソン
制作国:アメリカ
プロデューサー:エリック・ハイセラー、カレン・ランダー、スタン・ヴロドコウスキー、ダン・コーエン、トーリー・メッツガー、ミラン・ポペルカ
脚本:エリック・ハイセラー
原作:「あなたの人生の物語」

監督情報

英語表記は、Denis Villeneuveです。

カナダ・ケベック州トロワリビエール出身。

SF映画の金字塔とも言える「ブレードランナー」の続編「ブレードランナー2049」のメガホンもとっています。

大作SF映画「DUNE/砂の惑星」の監督も務めています。

おもな登場人物(キャスト)

ルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)

主役の女性。

言語学者。

イアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)

主役と一緒に調査する物理学者。

ウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)

調査のまとめ役であるアメリカ陸軍大佐。

原作小説

原作はテッド・チャン著「あなたの人生の物語」です。

短編小説集ですが、どれも読み応えがあります。

原作小説もぜひ読むことをお勧めします!

映画では今一つピンとこなかった方も、SF小説の良さが凄く出ている作品なのでぜひ読んでみてください。

個人的には、映画の方がラストに希望が見える気がして好きなのですが、小説ならではのロジックが効いていると思います。

映画「メッセージ」の解説

それでは、個人的に映画『メッセージ』を考察していきたいと思います。

ネタバレを多分に含みますので、ご注意ください!!

映画「メッセージ」のストーリー

 まずは、簡単に映画『メッセージ』のあらすじを振り返ってみます。

ストーリーを覚えている方は、飛ばし読みしてくださいませ。

ネタバレ注意ですよ!!

ネタバレ有のあらすじ

突如地球の各地に来訪した楕円状の黒い宇宙船。
日本では、お煎餅の「ばかうけ」に似ていると話題にもなりました。

主役のルイーズは、世界的言語学者のため、調査に加わります。

地球外生命体「ヘプタポッド」と交信して、地球に来た目的を探るのです。

ルイーズは、彼らの言語を学ぶにつれて、言語が内包していたヘプタポッドの世界認識を理解していくことに。

人間は「原因が結果を生み出す」というように因果論的に世界を認識しているが、ヘプタポッドの認識は過去・現在・未来を同一視する、いわゆる同時的認識様式に基づいているというのです。

同時的認識様式を獲得したルイーズは、自分の娘の死が未来に待ち構えていることを知りながらも、後の夫となる物理学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)と共に過ごしていくことを選択するのでした。

考察①原作との違いは?

まずはじめに、原作小説との大きな違いを3点ほど解説しますね。

一つは、娘であるハンナの死因が異なります。

映画では難病にかかったことが死因となっていましたが、原作小説では山登りでの事故が死因です。

二つ目は、他の国同士との絡みがほとんどないということ。

映画の終盤に、大きく物語の命運をかけられる各国との情報遮断などのエピソードは小説版にはありません。

三つ目は、ヘプタポッドの言語の習得についてです。

映画では、人類の言語との決定的な違いや、なぜヘプタポッドの言語を習得することが「未来を知ること」につながるのかが詳細に描かれていません。

そのあたりは、小説をよむと理解しやすいと思います。

短編で読みやすいので、是非一読を。

考察②地球外生命体の飛来目的は結局のところ何?

彼らの目的は、ヘプタポッドとルイーズの会話から判明します。

ヘプタポッドたちは、3000年後に何らかの危機を迎えるらしく、その時に人類の助けがいるというのです。

彼らの武器を提供する代わりに、自分たちの危機を救ってほしいと、仕込みにきたわけです。

考察③未来を知ること、自由意志は矛盾しないのか?

未来が見えるなら、未来を変えることもできそうですよね?

ルイーズは、自分の意志で行動していますし、一見、矛盾しそうです。

結論から申し上げると、ルイーズたちは未来を見ているのではなくて、同時的認識様式を知覚することができるようになったと考えられます。

映画では、ルイーズがこう解明しています。

人類は「リニアな世界」、地球外生命体は、「ノンリニアな世界」であると。

映画の冒頭のモノローグで、「もしもこの世に時間の流れがなかったら・・・・」という感じでルイーズが語っていました。

地球外生命体たちは、時間が流れない世界にいるのです。

考察④言語が武器?ルイーズが得たもの

映画では、ルイーズがヘプタポッドの言語を習得する様子が少し分かりにくいと思います。

原作をあたってみると、以下のように描写されています。

新たな記憶は、それぞれが数年単位の機関に相当する巨大なブロック群がばらばらと所定に場所に落ちてきたようなもので、順序だって到来したとか連続的に到着したとかではないものの、それらはすぐに50年におよぶ期間の記憶を形成した。

(中略)

フラッパー(映画ではコステロ)やラズベリー(アボット)との面談の最中にはじまって、わたしの死をもって終わる。

出典:テッド・チャン著『あなたの人生の物語』

つまり、ルイーズは、ヘプタポッドとのセッションをこなすうちに、自分が死ぬまでの記憶が頭の中に入ったのです。

考察⑤ループ構造

物語の結末部分でこれまでの娘との思い出のフラッシュバックが、未来の出来事だと知るルイーズですが、この構造はループにもなっています。

変えられない結末を感情に左右されながら生きていく、というのは酷なものだ思いますが、全てを理解したラストシーンでのルイーズは愛しい時間を一秒一秒を噛みしめている…そんな余韻を感じました。

非ゼロ和ゲーム

非ゼロ和ゲームという言葉がでてきますが、経済理論の一つです。

簡単に言い換えるとどちらもが勝者するというウィンウィンな関係。

ルイーズが政府との会議中にイアンが発した言葉でしたが、これを聞いたルイーズはその後の未来でこの言葉をド忘れしてしまったハンナに教えるというシーンが描かれました。

回想シーンのように描かれたシーンでしたが、実際はルイーズが過去イアンが「非ゼロ和ゲーム」と言っていた場面を辿り未来でハンナに伝えていたシーンとループしています。

さらに、この非ゼロ和ゲームについて、ヘプタポッドが提供する武器というものが人類を救い、その結果ヘプタポッドの3000年後の未来をも救うという意味にもつながっているのが面白いですね。

中国語で伝えられた「妻の最後の言葉」の意味

映画のオリジナルシーンで、シャン上将に電話で妻の最後の言葉を伝え、世界を救ったルイーズでしたが、ここでは未来の祝賀会でシャン上将と出会ったルイーズが電話番号と言うべき言葉を伝えられるというシーンがあります。

このシーンでは、実際に中国語で喋ったシーンがありますが字幕などがなく何と言っていたのか気になりました。

直訳すると、「将軍、戦争に勝利はなく残るのは孤児と未亡人だけ」という意味になるようです。

交戦状態まっただ中にあったシャン上将にこの言葉をかけたことが近い未来、世界中の人々が集まる祝賀会につながるという構造でループしています。

考察⑥ラストシーンの衝撃。メッセージとは?

ルイーズは、その後の自分の人生に起こることが記憶として入っています。

つらい未来をを分かりながらも、決断するのです。

映画で私が印象的だったセリフです。

ルイーズ「この先の人生が見えたら 選択肢を変える?」

イアン「自分の気持ちをもっと相手に伝えるかも」

出典:映画『メッセージ』

このラストに何だか希望を感じてしまう私なのです。

邦題が「メッセージ」となっていますが、原題は「Arrival」。

ラストに原題が表示されるのも意味深ですね。

あなたはどんなメッセージを受け取りましたか?

映画『メッセージ』を語りたい

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

運命を知るとはまた違いますが、そういったことを考えさせられる映画でした。

自分だったら、ルイーズのような決断に至るでしょうか。

家族愛をつくづく考えてしまう私です。

つたいない個人的考察でしたが、これも一つの解釈として、読んで頂ければ嬉しいです。

ぜひ、みなさんの考察、感想も教えてくださいませ。

観た後に、語り合いたくなる映画だと思います。

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