「モモ」の作品情報
タイトル情報
タイトル:「モモ」
著者:ミヒャエル・エンデ
翻訳: 大島 かおり
出版社:岩波書店
発行日:1976/9/24
ISBN:9784001106879
楽しめる年齢の目安:小学5年生ぐらいから、上は何歳まででも!
後でご紹介しますが、文庫版や愛蔵版も出版されています。
作者情報
「モモ」は、ドイツの児童文学作家、ミヒャエル・エンデの作品です。
1973年に刊行され、翌1974年には「ドイツ児童文学賞」を受賞しました。
世界各国で翻訳されていて、日本でも人気があり、累計発行部数はドイツに次いで2位だそうです。
エンデ自身も日本に縁があり、1989年には『はてしない物語』の翻訳を担当した佐藤真理子と結婚しました。
20世紀を代表する児童文学作家のエンデは、ドイツ・バイエルン州のガルミッシュに生まれました。
父は画家のエドガー・エンデです。
長野県の黒姫童話館には、多くのエンデ資料が所蔵されています。
おもな登場人物
モモ
いつからか円形劇場に住み着くようになった女の子。
どこから来たのかも、いくつなのかもわかりません。
くしゃくしゃの巻き毛と美しい黒い目をもっていて、だぶだぶの上着を着て裸足で歩いています。
人の話を聞くのがとても上手でした。
道路掃除夫ベッポ
道路掃除のおじいさんです。
みんなから無口な変わり者と思われています。
本当は、とても思慮深いのでした。
モモの親友です。
観光ガイドのジジ
夢を見るような目をしていて、おしゃべりな若者です。
観光ガイドと称し、お客にうそを並べてばかりなのでした。
モモのもう1人の親友です。
灰色の男たち
頭からつま先まで、すべてが灰色ずくめの紳士たちです。
人間に時間を節約させて、自由な時間を奪っています。
マイスター・ホラ
正しくは、マイスター・ゼクンドゥス(秒)・ミヌティウス(分)・ホラ(時間)です。
時間を司り、若者から老人へと絶えず姿を変えています。
カシオペイア
マイスター・ホラのカメで、話すときに甲羅に光る文字が浮かびます。
少しだけ先の未来を見通す力をもっています。
刊行案内
「モモ」は、現在3種類刊行されています。どの版で読んでみますか?
①箱入りのハードカバー版
タイトル:モモ / 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語
作:ミヒャエル・エンデ
訳:大島 かおり
出版社:岩波書店
発売日:1976/9/24
ISBN:9784001106879
箱入りなのが嬉しいハードカバー版です。
②持ち運びに便利な文庫版
タイトル:モモ
作:ミヒャエル・エンデ
訳:大島 かおり
出版社:岩波書店(岩波少年文庫 127)
発売日:2005/6/16
ISBN:9784001141276
鞄に入れて持ち運ぶのに便利な文庫版です。
③贅沢な愛蔵版
タイトル:ミヒャエル・エンデの本 愛蔵版 モモ
作:ミヒャエル・エンデ
訳:大島 かおり
出版社: 岩波書店
発売日:2001/11/12
ISBN:9784001155679
しゃれた造本で、やや大人向きの愛蔵版です。
合わせて読みたい
ミヒャエル・エンデは、児童文学だけでなく、小説・絵本・詩・戯曲・エッセイなど、さまざまな著作品があります。
奥深いエンデ・ワールドをぜひ味わってみてください!
はてしない物語
タイトル:「はてしない物語」
作:ミヒャエル・エンデ
訳:上田真而子、佐藤真理子
出版:岩波少年文庫(上下巻)、岩波書店(単行本)
「ネバーエンディング・ストーリー」として映画化もした有名な作品です。
ジム・ボタンの機関車大旅行
タイトル:「ジム・ボタンの機関車大旅行」
作:ミヒャエル・エンデ
訳:上田真而子
岩波少年文庫
エンデがはじめて手がけた子どものための長編小説です!
ドイツ児童文学賞を受賞しています。
ゆめくい小人
タイトル:「ゆめくい小人」
作:ミヒャエル・エンデ
絵:フックスフーバー
訳:さとうまりこ
出版社:偕成社
エンデが手がけた絵本です!
M.エンデが読んだ本
タイトル:「M.エンデが読んだ本」
編:ミヒャエル・エンデ
訳:丘沢静也
出版社:岩波書店
鏡の中の鏡-迷宮ー
タイトル:「鏡の中の鏡-迷宮ー」
著:ミヒャエル・エンデ
訳:田村都志夫、丘沢静也
出版:岩波書店(ミヒャエル・エンデ生誕30年記念版)、岩波現代文庫
誰でもない庭 エンデが遺した物語集
タイトル:「誰でもない庭 エンデが遺した物語集」
著:ミヒャエル・エンデ
編:ロマン・ホッケ
訳:田村都志夫、
出版:岩波現代文庫
エンデの亡き後、友人で長年エンデの担当者であったロマン・ホッケによって編まれた遺稿集です。
「モモ」読書感想文のポイント
「モモ」のテーマは奥深いので、小学校高学年だけでなく、中学生、高校生の読書感想文としてもおすすめしたい1冊です。
どんなところに注目すると、感想文が書きやすいのか、ポイントをご紹介していきます。
テーマは時間
「モモ」に描かれている一番大きなテーマは、時間です。
読んだ後、時間とは何か、考えさせられるのです。
読書感想文を書く際には、読む前と読んだ後で、時間に対する考えがどのように変わったのか、という視点で書いてみると良いかもしれません。
楽しいことをしている時間は短く感じ、つらいことをしている時間は長く感じるなどの時間の不思議についても考えてみましょう!
町の人たちの変化
時間貯蓄銀行に自分の時間を預けて時間をなくしてしまった町の人たち。
時間がたっぷりあった時と時間がなくなった時の変化も大きなみどころです!
考え方や行動、大切なものなどはどのように変わっていったでしょうか?
床屋のフージー氏、道路掃除夫ベッポ、観光ガイドのジジ、酒屋のニノ、町の子どもたちはどんな風に変わっていったのかを書き出してみましょう。
登場人物の誰かひとりに注目して考察してみるのでも、それぞれについて考察してみるのでも、おすすめです。
読書感想文では、この人たちの変化を見て、自分がどう感じたかを書いてみることが大切ですよ!
主人公モモの不思議さ
ある日、円形劇場の廃墟に現れたモモ。
背が低くやせっぽっちで、どこからきたのか、年齢もモモという名前さえはっきりしていません。
けれども、次第に町の人たちが入れかわりたちかわり訪ねてくるようになり、必要とされていきます。
人々を惹きつけるモモの存在は、不思議でもあり、魅力的ですよね。
モモの耳を傾ける姿勢、聞き取る役目ついて考えてみるのも面白いかもしれません。
灰色の男たちって何だろう?
ある晩から町に現れた灰色の男たち。
頭のてっぺんから足の先まで、灰色をした服に身を固め、顔まで灰色、口には灰色の葉巻をゆらし、灰色の書類かばんを抱えています。
彼らは言葉たくみに町の人たちに時間を時間貯蓄銀行に預けるよう持ちかけます。
彼らの目的とはいったい何なのでしょう。
また灰色の男たちが通ると、味わったことのないさむけに襲われるというところもなんだか興味深いですね!
読書感想文では、灰色の男たちのシステムや、作戦、仲間割れについても考えてみるとよいポイントになります。
他にも、モモの「友情」や「時間の花」についてなど、色々と考えるポイントがありますよ!
気になったテーマで、ぜひ感想文にもチャレンジしてみてくださいね!
おわりに
下記の記事でもご紹介しているとおり、私が小学生のときに読書にハマるきっかけになった本をご紹介しました。
「モモ」は、児童書なので、私自身が初めて読んだのは小学生ですが、大人になった今でも読み返す本です。
忙しくて時間がないと言いがちな大人にこそ読んでほしい物語。
たわいのない無駄に思える時間を過ごすことも幸せなのかもしれません。
時間とは何か、人生について、深く考えさせられる物語です。
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